インプラント(人工歯根) (2001.5.11)

従来、入れ歯やブリッジでしか対応できなかった歯を失った部位に天然歯 (本来の自分の歯)の根の部分の代わりをするインプラント(人工歯根)を歯槽骨に取り付け、その上に人工歯を装着して、咬む機能を回復させる治療がインプラント治療です。
入れ歯では、噛むことが難しかったリンゴや肉などを噛むことができるようになります。又、入れ歯のように毎日取り外す必要がなくなり、口元を気にせず食事やおしゃべりが楽しくできるようになります。
しかし、よいことばかりではありません。全ての人にインプラント治療ができるわけではありませんし、費用も大変高価です(今現在は保険の適用外です)。インプラントとの相性が悪く為害作用により、インプラントの効果を享受できず、歯槽骨がとけインプラントをはずさざるをえなかった方々も結構いらっしゃるそうです。歯科医としっかり相談し100%でないことを理解して治療されることを望みます。
それに加え、天然歯は歯根膜につつまれ歯槽骨にささえられておりますが、インプラントは直接歯槽骨に取り付けられますので、歯根膜の機能は受けられません。歯根膜の一つの役目はショックアプソーバーの働きをすることで、例えば自動車の4つの車輪の内の1つに衝撃を吸収する機能がないのがインプラントを装着した状態とお考え下さい。平らな道以外では乗り心地が少し悪いのではと想像できると思います。3つの車輪で走るよりは断然4つの車輪で走る方がよいことは確かなのですが。又、食感も歯根膜がないと違ってきますので、自分の歯を保つよう努力することを願っております。
すでに歯を喪失されている方にとっては、インプラント治療は技術・学術の進歩がもたらした朗報ではありますが、決してインプラント治療が全てを解決してくれるものではないことを再認識する必要があると思います。
日本経済がおかしくなり10年が過ぎ、歯科業界においても保険適用外治療から保険適用治療にされる患者さんが増えたりとかで、医院の収入が減ってきているそうです(中には口臭外来などで1ヶ月以上初診待ち状態の医院もあるそうです)。インプラント治療を将来の医院運営の柱に考える先生方も増えてきているそうですが、すでに歯をなくされている方々にとっては夢の治療ととれる側面もあると思いますが。歯を喪失しないように予防に積極的になるように人々を導き、8020ではないですが、80歳で20本の自分の歯をもっているようになると、インプラントはあくまでも歯を失った時のみの治療の1つになると思います。 インプラント治療の研究はもっと進むでしょうが、インプラントのお世話にならないよう研究、教育、行政指導が進むことをせつに祈っております。